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脳梗塞とは?
脳梗塞は脳卒中(脳血管障害)の一つです。脳貧血などと表現されることもありますが、発生機序は何かしらの原因により脳の血管が閉塞し、脳の一部への血流が途絶えることによって生じます。血流の途絶えた脳細胞は壊死するため後遺症を残す可能性があるほか、迅速な処置が行われなければ命を落とすこともあります。
脳梗塞の症状
脳梗塞の主な症状には以下が挙げられます。発作の前兆として軽度な症状が現れることもありますが、全く症状がないまま大きな発作が起こることが多いです。症状に気づいた時には、すぐに脳神経外科を受診してください。
体の片側の麻痺
片側の顔や手足が突然動かなくなる症状です。これらの症状は、動かしづらいという軽度な不全麻痺から全く動かすことのできない完全麻痺まで症状の出方は様々です。
症状は一過性に出現し、改善することもあります。
言語障害
舌がもつれて言いたいことがうまく話せない構音障害。
その他、脳の特定の部位に障害が起こると、失語という状態になり、より重度な障害を引き起こします。
感覚障害
痺れ、痛み、熱さや冷たさを感じにくい~感じない、痛みに敏感になるなど、感覚障害は症状が多岐にわたります。
半身や顔全体など広範囲の感覚障害が突然出現した際は、要注意です。
視覚障害
どちらか一方の視野が完全に黒くなってしまう。これを一過性黒内障言います。
脳へ向かう太い血管に高度の狭窄のある可能性があります。
また、視野の一部が欠けたり、突然の視力の低下、ものが2重に見える、重なるなどの症状が出現する可能性があります。
意識障害
意識障害には何か変、ぼーっとするなどの軽微な状態から昏睡状態まで様々です。
重症な脳梗塞であればあるほど、意識障害を呈することがあります。
※詰まった血管が開通すると、これらの症状は一時的に治まります。ただし、あくまで一時的なもので、再び詰まりが生じて大きな発作を起こす可能性もあります。異常を感じた際は放置せず、すぐに医師に相談して適切な検査を受けてください。
脳梗塞の原因
脳梗塞の発生機序として、以下の5つが考えられます。
①アテローム血栓性脳梗塞
生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病)などが原因で、頸部・脳の主要血管に狭窄・閉塞を起こすことで発症する脳梗塞です。頭頸部のMRIや頸動脈エコー検査で狭窄・閉塞が存在しその還流領域に脳梗塞を起こすことで診断されます。
狭窄の原因となっている血管の中のplaqueが破綻したり、そこでできた血栓が塞子となって脳血管の遠位に飛んでいき詰まってしまう(動脈₋動脈塞栓症)ということも起こりえます。脳梗塞は比較的、広範囲となることや散在性となることもあります。その分、症状も重篤化することがあります。
②ラクナ梗塞
やはり、生活習慣病に起因した脳血管障害です。アテローム血栓性脳梗塞と違い、穿通枝(脳を突き抜けるように走行し脳の深部を栄養する細動脈)など、通常のMRI検査やCT検査で指摘できない細い血管の動脈硬化により起きる脳梗塞です。
MRIの画像特徴としては、脳梗塞の範囲が最大でも20mm未満と小さい脳梗塞であることです。ただし、小さい脳梗塞でも先の述べたように脳の深部に向かう血管に起きることもあるため、運動麻痺や半身の痺れなど重篤な症状を呈することがあります。
③心原性脳梗塞
心臓でおきる特殊な不整脈によって誘発される脳梗塞です。代表的な不整脈に心房細動があります。不整脈により心臓内で血栓が形成され、それが心拍動に乗って、脳血管を閉塞させてしまいます。血栓は大きく中枢測(心臓に近い側)での閉塞をきたすことが多く、脳梗塞の範囲が片側大脳半球に及ぶこともあるような広範囲脳梗塞になることもあるため、意識障害や完全片麻痺、全身けいれんなど生命を脅かす重篤な状態に陥る可能性があります。
心原性脳梗塞は近年、機械的血栓回収療法というカテーテル治療で回復できる可能性があります。この治療は、1分1秒を争う時間との勝負です。本治療は、指定医療機関での専門医による治療が必要不可欠です。当院からは近隣の指定医療機関に迅速に搬送することが可能です。
このような危険な不整脈は動悸などの自覚症状がなく、夜間睡眠中に発作がある可能性もあります。Holter心電図という24時間心電図検査で、検出できる可能性が高まります。
④その他
悪性腫瘍(癌など)、感染症、膠原病、血管炎などに続発して起きることがあります。これらの疾患に罹患すると、体内で血栓が形成されやすい状態となります。この血栓が脳血管に詰まると脳梗塞を引き起こします。
⑤潜因性脳卒中(ESUS)
ESUSはEmbolic Stroke of Undetermined Sourceの略で、比較的新しい概念の脳梗塞です。しかし、実臨床おいて症状のある脳梗塞のうちの約4分の1で、前述した①〜④の原因を特定できない場合があります。つまり、原因不明の脳梗塞ということです。
診断は、他の脳梗塞の可能性を消していかないといけないので、頭蓋内血管や頸動脈、心臓の検査をしっかりと行う必要があります。また、人は生まれたばかりの時に卵円孔という心臓の中隔壁に穴があります。これは通常、生後1か月程度で閉鎖しますが、閉鎖せずに穴が開いたままの方が、4人に1人くらいいると言われています。この卵円孔開存症が、ESUSの原因の可能性があると言われていますが、確証はありません。心臓超音波検査で卵円孔開存症の診断は可能です。
再発予防などの治療法は、バイアスピリンという血液サラサラの薬の内服以外は確立されたものはありません。
脳梗塞の治療・予防
急激な症状を発症した場合の治療は、救急病院で行います。発症から治療までの時間が短いほど回復できる可能性が高まりますので、脳梗塞の発症後は迅速な対応が重要となります。ご自身での通院が困難な場合は、迷わず救急車を呼ぶか、周囲の他の助けを借りてください。また、上記した症状が前兆として現れた場合には、すぐに脳神経外科を受診してください。
予防が最も重要です
脳梗塞は一度発症すると重篤な症状を引き起こすので、ならないように予防することが最も大切です。特に糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、脳梗塞の大きなリスクとなりますので、適切な治療と生活習慣の改善を行って発症リスクを回避するようにしましょう。
発症後の再発にも要注意
脳梗塞は再発の可能性が高いのも特徴です。回復した後も、かかりつけ医と相談しながら再発予防に努めてください。脳梗塞の前触れを感じた際に、すぐに受診できる環境を整えておくことも大切です。
脳梗塞のご相談は上田クリニックへ
当院は患者さんの継続的な生活習慣病管理をいたします。親族に脳梗塞を発症した方がいらっしゃる方や、基礎疾患でお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。