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単なる物忘れか認知症か
人の認知機能は加齢とともに低下するため、ある程度の年齢になれば、人や物の名前を忘れる、約束事を忘れるなどの物忘れは自然なことと言えます。忘れっぽくなること自体は病気ではありませんが、加齢に伴うものと脳の機能障害によるものとでは全くの別物です。
認知症は、早めの治療によって症状を改善できることもあります。認知症が疑れる場合は早めの脳神経外科を受診し、適切な検査を受けていただくことをお勧めいたします。
認知症=アルツハイマーではない
認知症は、特定の疾患を指す病名ではありません。認知機能の低下により、日常生活や社会生活に支障をきたしている状態を「認知症」と呼んでいます。よく「認知症=アルツハイマー病(脳の萎縮)」と勘違いされますが、認知症の原因はアルツハイマー病とは限りません。
アルツハイマー型認知症が多いのも確かですが、脳梗塞や脳出血などの脳卒中(脳血管障害)が原因となる認知症も少なくありません。後者を特に脳血管性認知症と呼ぶのですが、生活習慣病へ適切な治療介入が必要です。
いずれの場合でも、認知症の進行を防ぐためには、早めの受診と適切な検査・診断が重要です。
アルツハイマー型認知症について
アルツハイマー病型認知症は、脳が徐々に萎縮していく進行性の脳疾患です。脳の萎縮に伴い記憶や思考能力が障害されることで、最終的には単純な作業もできなくなります。根治的な治療が難しい病気ですが、早めに治療を開始することで進行を抑制できる可能性もあります。
また、近年画像診断の進歩により、早期発見が可能になっております。
早期アルツハイマー型認知症に対しては、画期的な治療薬も出現し、アルツハイマー型認知症を取り巻く状況が飛躍的に変化しております。
認知症チェックシート
- 1. 同じ事を何度も言うようになった
- 2. 忘れ物をよくするようになった
- 3. 今日の日付が思い出せない
- 4. 料理中によく鍋を焦がすことがある
- 5. 会話の中で、言葉が出てこないことがある
- 6. 趣味に関して興味がなくなってきた
- 7. 同じ物をたびたび買うことがよくある
- 8. 風呂に入る事を面倒くさがる
- 9. 身だしなみがだらしなくなる
- 10. 夜中に急に起きだして騒ぐ
- 11. 自宅の住所や電話番号を思い出せない時がある
- 12. 簡単な計算ができなくなった
- 13. 最近の会話や出来事を覚えていない
- 14. 今日食べたものを覚えていない
- 15. テレビを見ていて内容がよく理解できなくなった
上記のような症状を感じる、あるいはそのご家族は、一度脳神経外科へのご相談をお勧めいたします。特にアルツハイマー型認知症の場合は、ご自身で症状を自覚することが困難ですので、周囲の “気づき”が早期治療のカギとなります。
認知症と診断されたら
認知症の治療では、薬物療法が中心となります。ご本人への治療はもちろんですが、介助されるご家族様の心身の負担を軽減することも重要です。当院では福祉・介護利用の申請支援など、ご家族様のケアも行っております。認知症患者さんとの向き合い方について不安なことがあれば、ご遠慮なくご相談ください。
最新の医療情報を治療に反映します
最近ではアルツハイマー病の原因に作用する治療薬も開発されていますが、まだまだ一般的なクリニックで取り扱えるまでには至っておりません。日々認知症の研究は進んでおりますので、認知症治療の基本が変わる日もいずれやってくるかと思います。
当院では常に最新の認知症治療へのアンテナを張り、クリニックでの診療に反映しております。また、当院は横浜市のもの忘れ健診の指定医療機関ですので、1年に1度の健診は是非、受けるようにしてください。ご家族の認知症に関するご相談はもちろん、「将来の認知症が不安」などのお悩みもご相談いただけます。認知症についての不安や疑問があれば、お気軽に当院を頼ってください。