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てんかんとは?
てんかん発作とは、脳における過剰または同期生の異常なニューロン活動による一過性の徴候または症状と定義されております。てんかんと診断するためには少なくとも筋肉の痙攣や意識障害などの「てんかん発作」が、1回以上起きていることが大前提です。発作は突然起こることが多く、その症状や頻度も様々です。原因も一定のものはありませんが、“大脳の一部が興奮状態になり、発作を起こす脳の慢性疾患”とお考えください。
子どもの病気のように思われがちですが、高齢になってからてんかんを発症することもあります。似た症状がてんかんと誤解されることも多いため、治療においてはてんかんの原因とタイプを的確に判別し、適切な治療を行う必要があります。
てんかんの症状
てんかんは、お子さんとご高齢の方に多い病気です。てんかん発作による症状に一定のものはありませんが、たとえば以下がみられる時はてんかんの可能性があります。特にご高齢者の場合は認知症と間違われやすいので注意しましょう。
高齢者
- 突然動作が止まり、反応がなくなる
- 急に意識がなくなり、しばらくすると何事もなかったかのように動きだす
- 目の焦点が合っていない
- 無自覚に体をゆする、手足を動かす
- 怒りっぽくなる
- 意味もなく声を荒げる など
子ども
- 急に倒れる、ぼんやりしている
- 理由なく口をモグモグさせる
- よく言葉に詰まる、つまずく
- うなずきやまばたきなどの動作が異常
- 度を超えた不器用さがある
- 感覚の異常を頻繁に訴える
- 突然怒りや恐怖を感じる など
てんかんの種類
てんかんは、その原因とタイプで大きく4つに分類されます。どの分類に当てはまるかで、治療法が決定されます。
原因
症候性
MRIやCTなどの検査により、何らかの脳の異常が認められるてんかんです。脳炎や髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷などの脳疾患によって脳が障害されたことで起こり、てんかんの症状以外にも神経症状がみられることがほとんどです。
特発性(素因性)
検査でも異常が認められない、原因不明のてんかんです。てんかん症状以外の症状はみられないことがほとんどです。
タイプ
部分発作
発作中に意識を保つ単純部分発作と意識消失を伴う複雑部分発作、部分発作から二次的に全般化するもの(二次性全般型発作)に分類されます。上腹部不快感、嗅覚異常、聴覚性幻覚、視覚異常などの前兆を伴うこともしばしばあります。
側頭葉起源には「口をもぐもぐさせる」自動症、前頭葉起源では「手足が勝手に動いてしまう」運動過多が特徴的と言われております。局所的な症状から意識消失した状態で全身がガクガクするような症状まで様々です。原因として、大脳の皮質・皮質直下に脳腫瘍や脳梗塞や脳出血などの病変が存在することも多く、症候性てんかんともいわれます。
全般発作
発作の開始が、両側大脳半球の起源であるため、あらゆる症状を呈します。
欠神発作
突然の意識消失発作から動作が停止する。数秒~数十秒で改善する。
ミオクロニー発作
骨格筋の突然かつ短時間の衝撃的な収縮が連続かあるいは、1回生じる発作が不随意的に起きます。
強直間代性発作
意識消失をともない両側の身体が伸展し強直してしまう状態が数秒間持続します。その後、筋肉の収縮と伸展が繰り返され、徐々に緩徐になっていきます。全身性の発作で動きも激しく印象的かつ特徴的であるため、周りで見ている方から正確に発作の状況を説明してもらえることが多いです。
てんかんの治療
てんかんの原因には、脳腫瘍や脳出血などの頭蓋内占拠病変や、脳皮質の何らかの病変の存在が原因となることもしばしばあります(二次性てんかん)。てんかん治療あたっては、まず原因追及をして、頭部MRIや脳波検査などで診断することが必須です。
その後、発作型にあわせた抗てんかん薬を用い、発作のコントロールを行うことで治療を進めます。一部の症例では複数の薬剤の使用や手術が検討されることもあり、特に脳の病気が原因である症候性てんかんの場合は、その病気の治療を優先します。
発作を目撃した方の情報が診断のカギ
てんかんの診断では発作時の状態を正確に把握する必要があります。患者さんご本人からの情報はもちろんですが、近くでてんかん発作を目撃している方の情報提供も、診断に有力な情報となります。特に小さなお子さんの場合は、自身の異常を言葉でうまく伝えられないことも多いため、親御さんの観察と気づきが重要です。
診察時に必要な情報
- 発作の頻度
- 発作が起こる状況
- 発作中の症状
- 発作前後の症状
- 発作の頻度と持続時間
- 外傷や尿失禁の有無
- 初発年齢 など
てんかん?認知症?
高齢者のてんかんは、お子さんでイメージされるようなてんかんとは症状が異なります。特に初期の認知症と間違われることがありますが、治療法や対応が異なるため、適切な診断が重要です。
親御さんの様子で気になることがある場合は、当院にお気軽にご相談ください。なお、受診を促す場合は、認知症やてんかんなどの病名をストレートに口に出してしまうと、患者さんの気分を害してスムーズな受診に繋がらないこともあります。「健康のため、一応診てもらおう」などのように、優しくお声がけするようにしましょう。