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- 難聴・耳の聞こえの悪さ
耳の聞こえが悪いと感じたら

最近、片方の耳の聞こえが悪い、または急激な聴力の低下があった際には、まず耳鼻科を受診してください。
その後、耳の聞こえの悪さの原因がはっきりしない、症状の改善がない、更に増悪する際は脳の深部にある脳幹や聴神経に異常のあることがあります。代表的な疾患として、音を聞き取る神経(内耳神経)にできる神経鞘腫やその周囲にできる髄膜種です。良性の脳腫瘍のカテゴリーに分類されます。
神経鞘腫
神経鞘腫は末梢神経系を構成する細胞成分であるSchwann Cellから発生する腫瘍であり、様々な脳神経から発生します。原発性脳腫瘍全体の10%程度の割合を占めます。
性別では女性:男性(1.3:1)で、50歳代に最多の成人脳腫瘍です。聴力低下を主な症状とする神経鞘腫は、写真にあるような前庭神経という内耳神経(第Ⅷ脳神経)の一部で、小脳橋角部~内耳道というところに発生します。
症状
初発症状は、聴力障害が最多で、高温の聴力低下が特に顕著となります。片側の聴力障碍の患者さん平均2.6%、回復不能な突発性難聴の患者さんでは8~10%程度の高い確率で、聴神経腫瘍が発見されます。
一般的には数年という長い経過で進行する聴力障碍患者さんで見つかることが多いですが、小型腫瘍に限定すると15%程度で突発性難聴の形式で発症することがあるとされています。併存する症状として、内耳道に並走する顔面神経(第Ⅶ脳神経)麻痺を発症することもあります。
診断
MRI検査
診断はMRI検査が有効です。しかし腫瘍が小さく、ページ上部の写真のように内耳道に限局した小さい腫瘍では、内耳道をターゲットとした詳細な画像検査が必要になります。
CISS画像という方法で、詳細な画像情報にて診断しますが、単にMRI検査といってもCISS画像を撮影せずに腫瘍を見落としてしまうケースも少なくありません。このため、難聴を自覚して耳鼻科を受診した後は、脳神経外科医による問診と診察、頭部MRI検査がより確実であると考えます。
治療
治療方法は脳神経外科医による開頭手術か定位放射線治療(γナイフ)という放射線治療になります。前庭神経鞘腫の自然歴は、50%前後で1~2㎜/年程度の増大があり、何らかの治療を要するケースが多いです。その中の数%は急速な増大(3~4mm/年の増大)を示すこともあります。
開頭手術
良性腫瘍ですので、開頭手術にて全摘出をすることで完治が望めます。小さい腫瘍であれば、熟練した脳神経外科医が適切なモニタリング下で手術を行うことで、顔面神経機能の保存は90%以上、有効聴力の保存も50~80%近くが得られるというデータがあります。
定位放射線治療
定位放射線治療(γナイフ)は、小型(2.5cm未満)の腫瘍に対して行うことが多く有効率は90%以上で、有効聴力の保存も70~90%と高い数字を保持しています。
治療直後に一過性に腫瘍が大きくなることがありますが、その後徐々に数年かけて縮小していきます。定位放射線治療が頭を切ることはなく、低侵襲に確実に腫瘍縮小を狙えることが最大のメリットとなります。
