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ふらつき・歩行障害とは

脳の病気が原因で起こる歩行障害は、小脳に脳梗塞、脳腫瘍、変性疾患などの異常がある場合に見られることがあります。片側の小脳半球が障害されると、頭部や体が病側に偏位したり、倒れたりすることがあります。
また、小脳虫部という深部の部位が障害されると、前後左右へのふらつきが出現し、歩行時には酩酊したようにふらつく開脚歩行(開脚酩酊歩行)が見られます。
そのほかにも、歩幅が小さくなってよちよち歩く小刻み歩行、足が地面から離れず擦るように歩くすり足歩行、筋肉の硬直による痙性歩行、運動麻痺による歩行障害など、歩行障害にはさまざまなタイプがあります。
考えられる疾患
脳卒中
歩行障害は、脳梗塞・脳出血・脳静脈洞血栓症など、脳血管の異常によって起こることがあります。これらの脳卒中が前述した小脳に起きた場合、小脳出血や小脳梗塞となり、歩行障害を呈することがあります。
また、脳卒中の発生部位によっては、片側下肢の麻痺を引き起こし、麻痺性の歩行障害を呈することもあります。
脳卒中による歩行障害は、急激に症状が出現した後に悪化するおそれがあります。急に歩きにくくなった場合は、救急要請、もしくはできる限り早く脳神経外科医のいる病院を受診してください。
正常圧水頭症
脳と脊髄は、脳脊髄液という無色透明・無菌の液体の中に存在しています。脳脊髄液は、脳の深部にある脳室脈絡叢という部位で生成され、脳室内を循環しています。また、くも膜に無数に存在するくも膜顆粒で吸収されるため、常に生成と吸収を繰り返しています。
正常圧水頭症は、このバランスが何らかの原因で崩れ、脳脊髄液が過剰になる病気です。
症状としては、歩行障害・認知障害・尿失禁の3大症状があります。ただし、この3つがすべてそろうことは非常にまれで、どれか1つでも当てはまれば鑑別疾患として考える必要があります。
診断には、頭部MRI検査またはCT検査で、脳室の大きさや脳の隙間を観察します。加齢や認知症による脳萎縮と画像所見が似ているため、脳神経外科専門医による画像診断が必須となります。
画像検査で正常圧水頭症が疑われた場合には、タップテストを行います。これは背中から脊髄腔に針を刺して、過剰な脳脊髄液を排出する検査です。この処置で症状が改善すれば、確定診断となります。
治療は、脳神経外科で体内に髄液排出を持続的に行うための機器を留置するシャント手術(脳室-腹腔短絡術・脳室-腰髄短絡術)となります。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、頭部打撲の数週間後から数か月後に発症することが多い疾患です。一方で、頭部外傷歴が明らかでない慢性硬膜下血腫に外来で遭遇することも、まれながらあります。
慢性硬膜下血腫で起こる歩行障害は、血腫が脳実質を圧排することによって生じる下肢の麻痺が主な原因です。この疾患はご高齢の患者さんに多く、血腫が増大しても、歩行障害以外の症状を自覚しないことも少なくありません。
頭部外傷の既往と歩行障害、この2つのキーワードがある場合には、なるべく早く脳神経外科医にご相談ください。
パーキンソン病
パーキンソン病では、前傾前屈姿勢(姿勢異常)が特徴的で、前後左右いずれの方向への歩行でも歩幅が狭くなります。いわゆる小刻み歩行です。
また、歩行速度は遅くなり、進行すると前屈姿勢のまま次第に歩行リズムが速くなって止まれなくなる、突進歩行が見られることがあります。
さらに、歩行時の腕の振り幅も次第に減少し、進行例では腕の振りが消失して、上肢の手首や肘の関節が屈曲した状態で歩行するようになります。
進行性核上性麻痺
進行性核上性麻痺は中枢神経変性疾患の1つで、中年期以降、特に60歳代以降の男性に多く見られ、症状は徐々に進行します。10万人あたり6人前後とされる希少疾患です。
典型的には、筋固縮・無動・歩行不安定などのパーキンソン症状が出現するため、鑑別が難しいことがあります。しかし、病初期から垂直性の注視障害や、頚部が後屈するジストニア症状が見られ、足元を見づらくなることで独特の歩行異常が出現します。
また、病中期以降には認知症を併発することがあり、歩行不安定による転倒が増えることも特徴の1つです。
確立された治療法はありませんが、抗うつ薬やL-Dopaの投与により症状が軽快することが分かっています。
ふらつき・歩行障害が気になる方へ
歩行障害の原因には、上記のような脳神経疾患が潜んでいる可能性があります。ご心配な症状がある方は、一度当院、またはお近くの脳神経外科専門医にご相談ください。
