力が入らない・運動麻痺

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力が入らない・運動麻痺とは

力が入らない・運動麻痺とは

私たちの体は、大脳皮質に存在する運動野(Brodmann 4)・運動前野(Brodmann 6)から、脳深部白質、脳幹、脊髄の錐体路という経路を通じて、随意運動を引き起こしています。
この経路に何らかの異常が生じると、障害が起こった錐体路の反対側の上下肢に、異常反射、深部腱反射亢進、運動麻痺がみられることがあります。これを運動麻痺と定義します。

原因について

原因は多岐にわたり、錐体路上に脳腫瘍などの占拠性病変、脳梗塞、脳出血などの脳卒中、神経細胞変性脱髄性疾患、多発性硬化症などの炎症性脱髄性疾患が存在することで引き起こされます。

また、脳表に存在する病変が直接、運動野や運動前野を障害することで起きる場合もあります。こうした場合には、脳表面の上記病変や、外傷による慢性硬膜下血腫などを鑑別として考えます。

麻痺の程度はさまざまで、通常は徒手筋力テスト(Manual Muscle Test:MMT)で評価されます。力が入りづらい状態から、まったく動かせない状態まで重症度は幅広く、いずれも運動麻痺として定義されます。

考えられる疾患

脳卒中

主に、脳梗塞・脳出血・もやもや病など、脳血管の異常により起こります。これらの脳卒中が前述した大脳皮質から錐体路にかけて生じることで、運動麻痺を呈することがあります。重症度は、出血量や梗塞の範囲に依存します。

また、脳梗塞の前兆として、一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack:TIA)を起こすことがあります。典型的な症状としては、片方の手足の運動麻痺が数分〜数十分、一過性に出現したのちに改善し、元に戻ります。

この一過性脳虚血発作は、動脈硬化により頚部や脳の動脈に狭窄が発生し、脳への血流が徐々に低下した結果として発症します。

実際には脳梗塞には至っていないものの、脳梗塞の手前の症状です。頭頸部動脈の狭窄が高度で、常に脳が虚血(脳貧血)状態にあるため、非常に危険で切迫した状態と考えてください。

これら脳卒中による運動麻痺は、急激に症状が出現した後、さらに悪化するおそれがあります。急な運動麻痺を認めた際は、救急要請、もしくはできる限り早く脳神経外科医のいる病院を受診するようにしてください。

頭部外傷

重症頭部外傷後に、意識障害や頭痛、嘔吐、運動麻痺症状が出現した際は、急性硬膜下血腫や脳挫傷などの頭蓋内損傷を考える必要があります。上記に記載した症状が、頭部外傷直後から数時間以内に出現した場合は、非常に危険なサインといえます。

また、頭部外傷後、数週間〜3、4か月後という長い経過の後に運動麻痺が出現することがあります。このような麻痺は軽症で、かつ徐々に悪化するため、ご高齢の方では周囲が気付きにくいこともあります(慢性硬膜下血腫)。

脳腫瘍

頭蓋内占拠性病変が、大脳皮質の運動野や脳深部白質の錐体路に発生すると、運動麻痺として症状を呈することがあります。脳卒中による麻痺とは異なり、突然出現する麻痺よりも、徐々に悪化する麻痺や、細かい作業がしづらいなどの自覚症状が多くみられます。

中枢神経系炎症性疾患

自己免疫疾患や感染症により、中枢神経に炎症性変化が起こることで発症します。これらの炎症性疾患が、大脳皮質の運動野や脳深部白質の錐体路に発生すると、運動麻痺として症状を呈することがあります。

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